「スーパーマリオ」30周年の記念作品が「スーパーマリオメーカー」である意義を考える。ゲームの中身もユーザー主導の時代へ


2015年9月10日に、
マリオ30周年を記念するWii U用ソフト「スーパーマリオメーカー」が発売されます。

30周年記念作品が「マリオメーカー」である意義、
最近の任天堂のゲーム(スプラトゥーン)を遊びながら感じていること、
そのあたりの話をゆるりと書いてみました。



◆“遊ぶ”マリオから、“作る”マリオへ


マリオは任天堂の看板キャラクターであり、
ホリデーシーズンに発売されるマリオ主演のゲームは懇切丁寧に作られてきました。

マリオへのこだわり=任天堂の矜恃、と解釈してしまってかまわないかと思います。

良いマリオ作品が作れなくなったら、任天堂というメーカーは消費者から見放されてしまう、
そういった危機感を胸に今までやってきたのではないでしょうか。


「スーパーマリオ」30周年に発売される「スーパーマリオメーカー」は、
ゲームの中身をゲーム制作者が作り込むという従来のスタンスを捨てました。

ゲームの中身を作るのは、ゲームプレイヤーです。

「スーパーマリオメーカー」は、つくって、共有して、あそぶ仕組みに特化して作り込まれています。

任天堂がつくったサンプルコースも収録されていますが、
素人さんがつくったコースを共有して遊べることや
従来のシリーズの常識にとらわれていない破天荒なコースを遊ぶことが醍醐味なのですね。


「スーパーマリオメーカー」自体は去年のE3に発表されましたし、
実際に発売を楽しみにしていました。

ですが、私は「スーパーマリオ30周年」に
任天堂スタッフが作り込んだマリオ作品が投入されてもおかしくないと想っていたので
けっこう驚いてしまったんですよね。

「ゼルダの伝説 風のタクトHD」のときのようにリメイク作品を用意する、
という手もあったわけですが、それもないですし。


マリオ30周年に「スーパーマリオメーカー」が投入されるという背景から、
今後の任天堂の行く末をうかがい知ることができるのではないかと思い至りました。

私が考えた結論を、これから書いていきますが
ゲームの中身をユーザーが主導して作り上げていくゲーム時代が
本格的に到来すると、任天堂は予測しているんじゃないでしょうか。



◆ユーザーが多数存在しなければ、完成しない面白さ

これまで任天堂は、お金をはらってゲームを購入してもらった以上、
内容のアップデートやインターネットを接続したコンテンツがなくても
100パーセント満足できる商品を提供しようとしてきました。

お金をはらってもらったら、マスターアップした完成品を即座にわたす、
というシンプルで後腐れの無い商売スタイルです。

5千円前後のサービス料を徴収したのに、
あとから内容を追加したり更新したりするのは、不誠実な感じがしていたのでしょう。




2015年5月に発売されたWii U用ソフト「スプラトゥーン」の試みと反応の良さは、
任天堂が目指すあらたな理想を体現しています。

「スプラトゥーン」はネットに接続しなくてもプレイすることができますが、
購入者のほとんどがオンライン対戦を目当てにしていることが肌で感じられますよね。


「スプラトゥーン」は武器や対戦マップ、ルールなどが後から追加されていきます。
ゲーム内容がアップデートされるとともに、
プレイヤーのプレイスタイルや流行なども更新されていっています。

発売から1ヶ月後の感想はまったく役立たない、そう断言していいほど
対戦状況は変化しつづけているのです。


オンライン対戦が売りのソフトですから、
ゲームの出来のよさ(面白さ・操作しやすさ)はもちろんのこと
自分以外に「スプラトゥーン」に熱中しているプレイヤーがオンライン上に存在していることが
大切になってきます。

テンポのはやいアクションゲーム(シューター)ですから、
ただ単に人数が多いだけではイマイチな体験しかできません。
習熟したプレイヤーの人数が増えれば増えるほど、盛り上がりが増します。

腕の良いプレイヤーや個性ある戦略をしかけてくるプレイヤーが
日に日に増えてきており、いつプレイしても存分に楽しめるようになってきました。

他者の存在なくして、
「スプラトゥーン」の良さを味わい尽くすことは出来ません。

ある意味、不確実な要素を残したまま発売されたソフトでしたが、
そのことが大きな刺激となり私たちを楽しませてくれています。


「スーパーマリオメーカー」とはジャンルや形式は異なりますが、
ゲームプレイヤー不在では魅力を発揮できない、
ユーザー主導のゲームであるという点は共通していますね。



◆お金の話ばかり注目されるけれど


最近のゲーム事情が語られるときって、
値段の話に行き着きやすいなと感じています。

有料のソフトは時代遅れ、基本無料のほうが成功しやすい、
追加コンテンツの是非や価格帯……などなど。


ですが、コンシューマーゲーム業界が
ゲーム開発者主導時代からゲーマー主導時代へと変わりつつある、
その事実の方が私にとっては大きなうねりであると感じられるのです。

私は「スプラトゥーン」が好きですし、新たな試みを歓迎しています。
「スーパーマリオメーカー」も楽しみにしています。


一方、作り込まれたゲーム作品をのんびりプレイしながら、
ゲーム制作者のこだわりや愛情を拾い上げていくのも好きです。

作り手のことは気にしない、楽しければどうでもいいという人も少なくないと思いますが、
私はゲームを通して、作り手の心意気を感じとるのが堪らなく好きなのです。

ゲームに限らず、作品を通してクリエイターの裸の心に触れられたとき、
言葉に出来ない感動を覚えます。


これからの時代、ゲームを作り込むことよりも
ゲームを楽しむ場を提供することのほうが重視されていく気がします。

私は古い人間なのでしょう、
そのことにちょっとだけ恐れを感じています。

ゲームは不急不要のものですから、
面白ければ形態はどうでもいいのかもしれませんけど。

私が感じているような不安を吹き飛ばすような、
あらたなゲームやサービスを用意してもらえたらなあと。

任天堂は良い意味で期待を裏切ってくれる会社だと思っているので、
色々と予想を覆すようなことをして欲しいんですよね。



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